「『ドゥルージアンの交差点』序論」試訳 (P130・下段第1パラグラフ・7行目)

続きのところです。

 

原文:

This lack of preconceived specificity ('without specifying any relation in particular') points in the direction of an experimental attitude because it demands of research that it investigates just what is connected with what in each specific situation.

 

藤井氏訳:

「どんな関係も指示することなしに」という、あらかじめ考えられた特異性を欠くということは、実験的態度の方向を指し示す。なぜなら、ある特定の状況において何と何がつながっているのかをまさに調査する必要があるからだ。

 

拙訳:

このように前もって特定されるものがない(「それはいかなる個別の関係も特定することはない」)ということは、実験的な態度を取るように我々を導く。なぜならそれぞれ個別の状況下で、まさに何と何が接続しているのかそれ自体を精査するような研究が必要となるからだ。

 

・ここは確かにちょっと訳しにくいんですが、原義に忠実かつこなれた日本語にするというのが鉄則かと。

 

・「あらかじめ考えられた特異性」? 「あらかじめ考えられた」はネット辞書の一番最初に出てくるpreconcievedの訳語をそのまま持ってきたんですかね。lack of preconceived specificityは、要するに「前もって関係が特定されない」ということなんで、多少意訳的でも意味の通る日本語にするべきかと。

 

・in each specific situationが「ある特定の状況」になるというのもよくわからない。situationが単数形だから一つの状況だと勘違いしたのでしょうか。通常はeach+単数形で「それぞれの」になります。